年4回の定例議会と7〜8月に開かれる臨時議会の概要を報告します。
「民報かこがわ」で詳しく報告しますので、そちらもぜひ、ご覧下さい。
テレビや新聞、雑誌に洪水のようにあふれる消費者金融のコマーシャル、顔を合わせずに借りられるシステムの普及、最近ではネットで申し込み、振込みで融資を受けられるサービスもでき、全国の消費者金融の借り手は、1400万人、そのうちの多重債務者は200万人以上いるといわれます。多重債務がもたらすDV、児童虐待、離婚、家庭崩壊、また、自殺や犯罪には多重債務が背景となっていることが少なくありません。多重債務が影響して生活保護受給者やホームレスになる人もいます。格差社会の広がりのなか、低賃金、不安定雇用などによる生活苦から、ごく普通の家庭の主婦、若者たちでさえ、深い落とし穴にはまってしまい、将来に希望を見出せずに過ごしています。
こんななか加古川市議会も全会派一致して出資法の上限金利の引き下げ等を求める意見書を国にあげましたが、貸金業者への規制を強化する関連法案が国会に提出され、多重債務問題の温床となっていた「灰色金利」は世論の力で3年後に撤廃される見通しとなっています。しかし併せて、今現在、苦しんでいる多重債務者の救済、生活再建につなげる対策が早急に求められています。積極的に取り組んでいる自治体の例を紹介し、多重債務問題に果たす行政の役割について提案し質問をいたします。
(1)多重債務者の公共料金滞納状況の一元管理について
多重債務者がもっとも恐れているのは過酷な取立てです。限られた収入から先ずサラ金に返済し、残りのお金で生活しなければなりません。しかし、元々収入が少ない人がほとんどです。生活するのが精一杯で国民健康保険料、住民税、市営住宅家賃、保育料などの滞納や国民年金においても滞納、未加入、免除の原因になります。最近は医療費の滞納の増加も発生しています。滞納している人たちは「払いたくても払えない」のが現状です。それは当然に公共サービスの低下を招き国民全体、地域全体が間接的に被害を被ることにほかなりません。こうなれば多重債務者の問題を自己責任論で片付けることは、もはや許されません。
そこで、行政が多重債務者の債務整理と生活再建にかかわって、弁護士、司法書士と連携をとり、問題解決できる環境を整えたらどうでしょう。金銭消費貸借契約においては利息制限法の上限金利(20%〜15%)を遵守しなければならないにかかわらず、出資法の上限金利(29.2%)の上限を超えない限り刑罰は科されないため、これが無視され続けてきました。その「灰色金利」で消費者金融業者は莫大な利益を上げ、本来消費や税金に使われるべきお金が高金利業者の元に流れています。
鹿児島県奄美市では昨年3月、日本弁護士連合会が「奄美ひまわり基金法律事務所」を開設し今年9月までに利息制限法に基づき再計算して回収した過払い金は約2億7千5百万円に達しています。多重債務者は債務が消滅したうえで相当の金額が戻り、これがその地域で消費され、あるいは滞納した税金にと支払われているのです。奄美市では、国民健康保険料などの滞納情報を一元管理し、生活保護を受け持つ自立支援課、福祉政策課、国民健康保険課、税務課、収納対策課、教育関係なども連携し問題解決を図っています。
多重債務者問題の解決は本人の生活再建はもとより自治体財政の改善、滞納の未然防止、地域経済の活性化にも寄与するものです。加古川市でも格差社会の広がりの中、税金、公共料金の滞納問題は深刻さを増しています。そこで、多重債務の整理について積極的にサポートする体制をつくり、その過程で市税や公共料金の滞納状況を把握し、一元管理し、過払い金を回収できたときには納付の約束をしてもらうという先進的な取り組みを求めるものです。大きな予算は必要なく、市民にとっても、行政にとってもメリットとなる対策ではありませんか。お考えを聞かせてください。
(2)相談窓口の設置について
多重債務者の多くはこの苦しさから脱却したいと願っています。しかし、弁護士に相談するには敷居が高く費用の心配があります。司法書士にその資格があることを知る人はわずかです。どこに相談し、どんな解決方法があるのかさえ知らない人がほとんどです。自力で解決することは非常に困難で多重債務の状態が続くと自殺を考える人が出てきます。国民生活センターの調査によると多重債務者の35%が自殺を考えたことがあるとの深刻な結果が出ています。
先に紹介した奄美市では市の各課や関係機関が連携し、税の訪問徴収や保護世帯の家庭訪問で職員が多重債務の状況をつかむと、まず、市民課市民生活係に連絡します。行政は相談者の代理人になることが出来ないので、弁護士、司法書士と連携をとり受任事務を発送し相談者が最も恐れている激しい取立てを中断し、後は淡々と債務整理が進められるというシステムです。「暗闇の中で光が見えれば人は死なない。多重債務者1人を救うことはその家庭を救うことになり、これは大きな住民サービスであり行政の役割です。キーは行政にあり」これはお話を伺った奄美市の担当職員の方の言葉です。
政府は多重債務の相談窓口を全市町村で設置する方針であると報道されました。奄美市の実績を元に総務省と金融庁が調整をしているとの内容です。住民が最も身近な行政主体である市が多重債務者の相談窓口を設置することは、効率的で相談者にとって頼もしい存在になることが出来ます。お考えを聞かせてください。
(3)生活再建の実績をつむ「奄美方式」の研究について
「奄美方式」をご紹介いたしました。マスコミが取り上げ、25日のNHK教育テレビ「ETVワイドともに生きる」という番組でも自殺者をなくす視点で紹介されていました。理事者にも一部資料をお届けしていますが、奄美市には全国の自治体、議会からの行政視察、資料の請求、問い合わせ、講演依頼が数多く寄せられているそうです。
奄美市と同様に弁護士過疎地域に平成17年に開設された島根県浜田市のひまわり法律事務所の弁護士さんも消費者法ニュースという雑誌の中で、クレジット、サラ金被害の事態と対策について述べられ、開設以来講演依頼が相次ぎ、その中には浜田市や益田市などの市議会、市役所も含まれており、これらの市役所では、いまや、多重債務問題、過払い金問題は職員の基礎知識となっていると述べられています。弁護士、司法書士への手数料も取り戻した過払い金の中から払え、過払い金はなくても再計算によりサラ金への借金の返済額が少なくなれば分割でも支払うことが可能であることなども知識として知っていただきたいのです。行政全体で連携し「多重債務は解決できる」と市民に発信していただきたいのです。
尼崎では先ごろ白井市長が「市政は市民とともに」と訴え大差で再選されました。選挙の直前7月に奄美市の担当職員の方と市長の懇談が行われ、その内容が「消費者金融被害に対応する」との選挙政策に生かされました。多重債務問題の最終目的は生活の再建です。行政の役割が大きいことを認識いただき研究をされることを求めます。この大きな社会問題に対して目をそむけず取り組むことを求めます。ご答弁を求め壇上での質問といたします。
私はある若い母親から相談を受けました。相談のきっかけは、過酷な電話での取り立てにおびえる自分の姿をみつめる3歳の娘の存在だったそうです。心配そうに母親を見つめる3歳の娘の真剣な目に自分を取り戻し私にSOSが送られてきました。このとき彼女は11社もの返済に追われていました。夫に内緒で借りたほんのささやかな金額がパートを辞めたとたん返せなくなっていました。ご承知のことと思いますが、貸し金業者にとって最良の客は利息だけ払い続ける人です。できるだけ元金の返済を引き延ばし、追加融資を持ちかけたりします。たちまちに雪だるまのように借入れ残高は膨れ上がります。市民はグレーゾーン金利の存在と過払い金返還の可能性についての知識のある人は極めて少数です。大手消費者金融業者が違法金利を取得しているとは思ってもいません。悪いのは借りて返さない自分が悪い、自分を責め、精神的に正常でなくなるまでに自分を追い詰めていました。こんな市民に「相談に来なさい。必ず解決できるよ」と行政が窓口を開いていただきたいのです。
弁護士さんの無料相談を受けようと思えば2週間ほどまたねばなりません。また、相談を受けてくれた弁護士さんの名前、所属する法律事務所は教えてはもらえません。
多重債務者はせっぱつまっています。ぎりぎりまで相談はしないものです。今の体制では間に合わないのです。
加古川市議会はこの問題の重要性にかんがみ、3月24日意見書をすでに挙げています。出資法の上限金利を利息制限法の制限金利まで引き下げることなど4項目とともに、「リストラ、倒産による収入減等、厳しい経済情勢の中で一般市民が安心して生活できるよう消費者信用市場の構築、また、多重債務問題の抜本的解決のためには、早急な対策が必要である」こう結んでいます。議会は明確に意志を示しました。今度は行政の実行が求められています。「キーは行政にあり」このことを再度申し上げ質問を終わります。