市議会報告

年4回の定例議会と7〜8月に開かれる臨時議会の概要を報告します。
民報かこがわ」で詳しく報告しますので、そちらもぜひ、ご覧下さい。

08年3月議会報告


代表質問【山川議員】

 国と自治体のありかた、その関係のあり方について、痛切な痛みを伴う事件を通じて考えさせられることが多くなりました。沖縄での米軍兵士による少女への性的暴行事件をはじめ、米軍基地があるが故の犯罪の多発のなかで、岩国市民が米軍基地受け入れを拒否すると自民・公明の政府がこれに制裁を加えるという乱暴な地方自治破壊を行いました。地方自治体と政府の関係のあり方に警鐘を鳴らす事件の一つと考えております。国の政策に誤りが明らかな今日、自治体の対応が厳しく問われるところとなっております。



1.自治体のあり方について

 地方自治体とは何なのか。それは憲法および地方自治法の主旨に明らかですが、これについて、私は、住民の暮らしを守り、健康と安全を守り、教育と福祉を充実することこそ自治体本来の役割ではないかと主張し続けています。国からの合併押し付け、地方財政締め付けは自治体を空洞化させるものとなっています。自治体のあり方を見定め、これを追求することには困難が伴いますが、それを投げ捨てれば自治体自らその存在を否定することになりかねません。自治体の対応が鋭く問われており、市長のご認識を伺っていきたいと思います。


1)「三位一体改革」「構造改革」の総括について

  いま、道路特定財源制度の是非が政治の焦点になりつつあります。40年近く前に田中角栄元首相らが導入したこの制度は、全国の道路建設を強力に推し進めました。地方道路建設に際しては、自治体は一般財源の投入を余儀なくされ、田中元首相が推し進めた列島改造計画とそれに続くアメリカの注文に従った10年間で600兆円を超える公共工事、建設事業は、国と自治体に莫大な借金をつくり出しました。今日の財政硬直化の主因はここにあります。
 2004年まで増加し続けていた地方交付税交付金は、構造改革・三位一体改革の掛け声で一気に縮減され、このために特に小規模自治体の財政は大きな打撃を受けることとなりました。こうした事態の中で国は自治体合併を押し付けましたが、今では、合併したところも合併しなかったところも財政困難は変わりません。国から地方へのお金の流れの縮小による財政縮減はどこの自治体も避けられない事態がつくり出されているのであります。
 地方自治体は、自らの本義を守るためには三位一体改革、構造改革なるものの有害性を直視し、地方交付税交付金などの増額を求め、国の責任による財政保障を求める必要があると考えるものですが、市長の御所見をお聞かせ下さい。


2)「財政健全化法」への対応について

 夕張市の財政破たんを契機に地方財政健全化法なるものが制定されました。しかし、何故夕張市の財政が破たんしたのか、よく考える必要があります。国は自国で唯一確保できるエネルギーの石炭産業を廃棄する政策に転換した際、その後始末をやらなかった。石炭大企業も後始末をしなかった。すべてそこの自治体に押し付けたのであり、ここに夕張市破たんの真の原因があることを見るべきであります。今日でも産業あるいは企業の誘致に自治体が奔走する場面がしばしば見られますが、夕張の困難はその面でも省みられるべきであります。
 財政健全化法は本年度、平成20年度予算から適用され、決算の際に実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率などの各指標、数値によって「財政健全化義務」が課されるか、国の関与を受けての財政再生の受け入れを強制されるかが決められます。自治体の財政運営に国の口出し関与が増加する懸念が生まれ、自治体の議会と監査委員の役割の空洞化も懸念されています。本来、自治体の役割は先にも述べたとおり住民の暮らし充実などにあり、財政はそのためのものであります。財政バランスのみを優先させて本来の自治体の役割を後退させるなら本末転倒となります。財政健全化法への対応とこの問題についての御所見をお聞かせ下さい。


3)格差と貧困の拡がりへの対応について

 自民・公明政権による「構造改革」路線は、わが国に格差と貧困を増大させました。市長は、当市の住民の所得の状況について、低所得層の割合が約6割という認識を示されたことがあります。なぜ格差が拡がり貧困が増大したか。それは、すべての生活費に課税される消費税が格差と貧困拡大の一大要因であり、その上に構造改革、規制緩和によって働くルールが破壊され、派遣・請負などの無権利の労働条件下で働かされる非正規雇用の青年労働者が増やされ、一方で社会保障が次々後退、縮小されてきたのが原因であります。これは国の政治の間違いであり、これを正さなければなりませんが、このような事態の中で自治体として格差と貧困の拡がりに対して、その緩和のための施策を採用する自治体もあります。
 小野市では、灯油の高騰に困る低所得世帯に補助金を出しました。千葉県の浦安市は後期高齢者医療制度発足に伴う負担増に対し、保険料を1万円助成するということです。当市でも多重債務問題の解決のための相談活動や、妊産婦健診助成の金額・回数の増大などの努力がなされていることは行政の姿勢として評価しているところですが、さらなる対応の充実を求める立場からご見解を伺うものであります。


4)セーフティネットの再構築について

 格差と貧困の増大の中で、わが国のセーフティネットの貧弱さが露呈されております。わが国のセーフネットはこれまで、終身雇用と社会保障そして生活保護制度という3つのシステムで不十分ながら機能してきたと言われています。しかし、雇用は不安定化され、社会保障は連続して後退させられてきました。先日、衆議院で自民・公明政権が強行した国の今年度予算案は、社会保障費の自然増を2200億円も抑制し、社会保障をさらに後退させるものです。こうした下で、当市の予算でも扶助費の増大が顕著となり、最後のセーフティネットである生活保護に過大な負担が生じています。北九州市などで生活保護行政が人権侵害を起こし、餓死や抗議の自殺までも生み出した背景に雇用と社会保障の崩壊があることをよく見なければなりません。
 雇用問題では、それまで不十分ながらも存在した労働者保護の規定が規制緩和の掛け声で無きが如くにされ、先日の国会でわが党の志位委員長が取り上げ大きな反響を呼んだように、キャノンなどの大企業が労働者を使い捨てにしバブル期以上のぼろ儲けをし、その一部は経営役員の高報酬となり、働く人はワーキングプアから抜け出せない事態を広く生み出している状況が広がっております。ここに第一の問題があります。セーフティネットの再構築について、まず、働くルールの確立、労働条件の抜本的な解決がはかられなければなりません。
 社会保障の問題では、構造改革路線の中で「受益者負担」「応益負担」という言葉が大きな声で叫ばれました。障害者の方が健常者と同じように生活できるようにすることは当たり前の行政の仕事であります。どうして障害者が負担に甘んじなければならないのか。必要な行政サービスをなぜ負担無しに受けられないのか。憲法の理念から見れば全く道理に合わないことであります。現状では障害者の方は健常者と同じ生活ができるようにはなっていません。本来、政治の役割は、くらしの向上、社会保障の充実にこそあるのであって、政治の軸足を生活支援に置くことこそ求められます。セーフティネットの再構築には、この二つの課題の解決が緊急に求められると考えるものですが、御所見をお聞かせ下さい。



2.住民の健康と安全の確保について

 神戸製鋼などの大気汚染データの改ざん事件は、その後、降下粉じんに何の規制も無かったこと。ベンゼンなどの規制も事実上無かったこと等が判明し、当市における大気環境の実態に大きな不安をもたらしました。また、27万市民の中にぜん息など呼吸器系の疾患の患者がどれくらい居られるのか判然としない。健康と環境の基本的資料が無いという事態に改めて慄然とした思いをしております。また、医療体制の確保、防災・防犯の取り組みとあわせ、質問していきます。


1)環境(大気、水質ほか)の改善対策について

わが党議員団が提起してきた大気環境についてPM2,5と呼ばれる微細浮遊粉じんの測定がはじめられること。住民のぜん息など健康調査の準備がなされていることを歓迎し、その結果が生かされるよう求めるものであります。
 神戸製鋼所は降下粉じんを半減し自社で発生するものは一ヶ月1kuあたり3トン以下にすると約束されました。もとよりこの目標達成で住民の降下粉じん被害が解決するかどうかは分かりませんが、目標達成の検証と確認は必要です。PM2.5の測定結果や健康調査とも連携しながら大気環境と住民の健康状態の正確な把握が必要です。その上で、大気環境の改善を図らなければなりません。その基準は住民の満足、環境と健康の改善にあると考えますがご見解をお聞かせ下さい。また、環境保全協議会が開かれていますが、そこでの議論等の状況は市民に公開されるべきと考えますが併せてお答え下さい。
 水質においては、河川水質は一定の改善傾向にあると聞いています。しかし、石油重化学コンビナート・製鉄工場の海岸の水質状態はどうか、養殖のりなどの漁業に水温上昇が影響しているとも言われます。水質の現状へのご認識と改善施策についてもお考えをお聞かせ下さい。


2)医療体制の確保について

 3月の市広報に夜間急病センターの小児救急が午後12時をもって終了とされるとありました。これまでも救急時間の空白が懸念されてきましたが、空白時間がさらに拡大されることに市民の大きな不安を増大させるでしょう。午前0時から午前9時の小児診療開始まで9時間もの間、急病の子を抱えた親御さんの不安が思いやられます。姫路市では救急輪番体制が崩壊の危機にあると報道され、明石市民病院などは産科がなくなるなど近隣の医療体制も不安要素を抱えています。
 救急医療に関しては、救急隊が現場に到着する時間はどんなに長くても10分以内でありますが、そこから医療機関に引き継ぐまでの時間が30分以上、時には4時間もかかるケースもあるという問題があります。こうした現状で医療と救急の関係者のご負担は如何ばかりかと思わないわけにはいきません。市長はこの現状を認識されておられることでしょうが、その対策をどのようにお考えかお聞かせ下さい。私は、この問題の根本に国の医療費抑制策があり、先進国のなかで医師がもっとも少ない国の一つであるという問題があると考えます。丹波市で市民が救急体制と医師を守ろうとの善意から軽微な症状での受診を控えるという市民運動が起こりました。しかし、当の医師からも、思いやりはありがたいが受診抑制で重症化が心配といわれたように、こういう方法は根本的解決になりません。国の医療費抑制策に異議を表明し医師を増員するよう国に求めるべきであります。その上で、当面する医師不足の対策を採るべきと考えます。御所見をお聞かせ下さい。


3)防災、防犯のとりくみについて

 わが国は地震活動期に入ったといわれ、当市直近の山崎断層による直下型地震の危険性が増大しています。先ごろハザードマップが配布されたのは適切といえますが、台風などの自然災害を含め、災害から住民を守る具体的な対策は必ずしも明確とはいえません。住民の暮らしと安全を守る対策を分かりやすく示すことが求められます。
 痛ましい少女の犠牲で心を痛めた別府町事件から防犯の取り組みが強化されています。防犯等の増設など改善がはかられていますが、防犯においては取り締まりだけで根本的な解決は得られません。監視社会のような状態がつくられるなら、防犯の本来の目的から外れるものとなるでしょう。社会の人々の連帯による安定こそ目指すべきと考えております。
 防災、防犯の取り組みについての御所見をお聞かせ下さい。



3.後期高齢者医療制度への対応について

 高齢者を75歳で区切り75歳以上を後期高齢者としてこれまでの医療制度から除外するというのが後期高齢者医療制度であり、その目的は唯一高齢者医療費の削減であります。4月から、75歳以上の高齢者はすべて個人単位の医療保険に加入させられ、各個人に保険料負担が義務付けられます。医療を受ける際は毎月の医療に制限が加えられるなど差別医療になります。このような高齢者医療制度は中止されるべきでありますが、市長はこの制度の保険者である兵庫県広域連合の議会の加古川市を代表する議員であります。広域連合などで条例を定めれば一般財政による保険料減免もできると厚労省の見解もあります。後期高齢者医療制度における差別医療、すべての高齢者への保険料負担など医療費抑制だけを目的とする後期高齢者医療制度に対してどのようなご見解と対応をお持ちか御所見をお聞かせ下さい。



4.播磨臨海道路計画への対応について

 市長は施政方針の中で播磨地域の臨海道路を推進すると表明されています。しかし、財政硬直化といいながらこの道路建設を推進するのは道理に合いません。この道路計画は道路特定財源による道路中期計画に含めさせる目的といいますが、10年間で59兆円もの財政投入を予定している道路中期計画には様々な問題が露呈しています。僅か10分程度の時間短縮のための高規格道路の建設計画も明らかになっています。まず道路建設計画ありきでないのかとの批判は当然です。
 播磨臨海地域道路計画に国が約5000万円もの調査費を付けました。調査の主な目的は、道路整備の受益者たる民間企業に協力を求めて建設費用の縮減をはかるとあります。これまで産業道路建設に莫大な財政が投入されてきましたが、この恩恵を受ける大企業などが道路建設費用の一部を負担したということは、私は寡聞にして聞いたことはありません。道路中期計画にも現在のところ播磨臨海道路計画は見えません。この道路計画とその調査事業そのものに疑問を持つものであります。
 播磨臨海道路計画の総延長を約50kmとすると総事業費が5000億円以上といわれていることから見ると1kmあたり100億円の道路ということになります。物価高騰と賃金低迷、国保料や介護保険、後期高齢者医療保険などの負担増大などで住民が暮らしに困っているときにどうして巨額の財政投入をしてまで道路建設を優先するのか。自治体のあり方として間違っていると指摘するものです。御所見をお聞かせ下さい。



5.教育行政について

 教育再生会議の第3次答申に対して「およそ教育の基本を踏まえていない不見識、無責任なもの」と藤田英典国際基督教大学教授が話されております。教育基本法改悪などわが国の教育行政への批判とも受け止められます。2005年に、当時の文科相は、子どもたちの間に競争意識を涵養すること。全国いっせい学力テストを実施して学習指導要領を見直すこと。教員免許更新制度の導入。各地域と学校間の競争状況をつくることなどを提起しこれらのために教育基本法を「改正」すると言いましたが、これらは今日ほとんど実行された状況であり、国家戦略としての教育改革が上から強引に進められてきて、教育における非常事態にあると考えます。このような路線は教育関係者の手厳しい批判を浴び、教育現場に様々な混乱をもたらしています。
 このような国による上からの教育内容への干渉にどのように対応するのか、地方の教育行政のあり方が問われています。国の教育統制路線を最も忠実に実行した典型が石原都知事肝いりの東京都教育委員会でした。都教委は、学習指導要領を錦の御旗に君が代斉唱、日の丸掲揚の職務命令を出し、これに従わない教職員を大量処分しました。都立七生養護学校の優れた実践であった「こころとからだの学習」の対して乱暴で不当な介入を行い、当時の学校長に不当な処分を加えました。
 これらの不当な介入や処分が現行憲法の理念と相容れないものであることは明らかです。司法の場で、都教委の日の丸・君が代強制の通達には従う義務の無いこと。都立七生養護学校の校長処分について違法と断定されたことなど、都教委の不法で違法な行政権乱用は断罪されております。しかし、これらの不法行為は、子どもたちをはじめ、関係者の間に重大な傷をもたらし、その修復をも困難ならしめている都教委の姿勢には深い憤りを覚えざるを得ません。こうした思いから当市の教育行政が憲法に基づくものであるように願って質問するものであります。


1)「朝令暮改」の学習指導要領への対応について

 このたびの学習指導要領の改訂はきわめて短期間であり、朝令暮改との表現も当然です。ゆとり教育を押し付け今度はそれを撤廃する。円周率についても根拠の無い定義を押し付けるなど混乱しています。学習指導要領に法的拘束力があるとして、これに盲目的に従うことは学校現場に混乱を持ち込み一層教育の困難を増大させるものです。本来、教育指導要領は教育の目標設定など教育の手引きとして活用されるものであり、内容の機械的押し付けは本来の趣旨に反することであります。当市の教育行政において、学習指導要領をどのようにとらえ、どのように現場との調整をしているのか。教育現場と教員集団の取り組みの裁量を確保するべきと考えますが御所見をお聞かせ下さい。


2)子ども観、学力観について

 全国いっせい学力テストをはじめとした競争状態の導入は、子どもたちに影響し点数や能力へのこだわりを強くさせました。文科省の子どもたちの間に競争意識を涵養するというネライは成功したように見えます。全日本教職員組合が発行している「クレスコ」という雑誌があります。そこに「学校は好きだけど嫌いでもある」という子どもたちの声があります。「友達に会えるから好きだけれど通信簿が悪いと起こられるから嫌だ」と。また、算数の引き算ができなくて居残りして一緒に勉強していた子どもの一人が、友達ができなくて困っているのに胸を痛め、先生に友達が困っているからわかるように教えてほしいと伝えようとした姿があります。全国いっせい学力テストで平均点が取れなかった中学校の生徒がテストの感想を聞かれて「みんなに迷惑をかけてしまった。私の成績が悪いのは学校のせいでも親のせいでもない。ごめんねというしかない」とここには、競争の押し付けに子どもたちがいかに傷つけられているかを窺わせる内容があります。  七生養護学校の事件では、そこでの性教育について「まるでアダルトショップ」などという記事もかかれましたが、都議会での乱暴な質問、都教委の意を得たかのような突然の介入で豊かな教育実践は破壊されました。それまで、これらの人々は現場の実態を何一つ見もせず聞きもしなかったと聞きます。結果はどうなったか。司法は違法と断罪しましたが、教育現場は荒廃しました。それまで成長しつつある障害児に正確な知識と認識を備えさせようとした教育は廃棄されました。その結果、何が起こったか。当然に間違いが起こると厳しい叱責や懲罰が加えられ、障害児の人間性は貶められました。教師と生徒の信頼関係は完全に破壊されました。こんな事態に都教委などは何ら反省していません。
 教育行政の子ども観、学力観にゆがみがあればどんな事態を招くかということは、戦前の軍国主義教育が教訓のはずでした。しかし、真にその反省が生かされていない現状があります。当市においても学校現場の問題は少なからず発生しています。これへの対応にはしっかりした子ども観、学力観が求められます。そのためには教育現場の自由度、裁量がもっと保障され、教員集団の自由な議論と実践が保障されなければなりません。
 教育長の御所見をお聞きし、壇上での質問を終わります。



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